定番はやっぱり「エスプレッソ」
およそ世界中のどこでも飲むことができ、国によってそれぞれ独自の種類やスタイルで楽しまれているコーヒー。日本ではアメリカ発の「シアトル系コーヒー」や「サードウェーブ・コーヒー」などがよく知られていますが、種類やスタイルという点ではイタリアも数多くのバリエーションを持つ国のひとつです。エスプレッソとカプチーノの国のコーヒー文化についてお伝えします!
イタリアのコーヒーといえば、やはり定番はエスプレッソ。ご存知の通り、加圧して抽出された濃い目のコーヒーを小さなデミタスカップに入れたものを指します。提供される量は地域や店舗、また個人の好みによっても異なりますが、だいたい20〜30ccほど。一般的な計量カップの一番下の目盛りよりさらに少ないと考えると、日本で一般的に飲まれているアメリカンコーヒーとはかなり異なることが分かります。
イタリア語ではコーヒーのことを「Caffè(カフェ)」といいますが、基本的にカフェといえばエスプレッソのことを指します。アメリカンコーヒーも飲まれないわけではないのですが、「Caffè Americano(カフェ・アメリカーノ)」ときちんと区別して呼ばれるうえ、エスプレッソにお湯を足して薄めたものが供されるという徹底ぶり。日本でよく知られているカプチーノやカフェ・ラテ、カフェ・マキアートなども全てこのエスプレッソをベースにして作られます。
イタリアのバールって、どんなところ?
イタリアでコーヒーを飲むためのお店は「Bar(バール)」と呼ばれます。ガイドブックなどではよく日本の喫茶店のようなものと書かれていますが、その実態は似ているようで大きく異なります。最も大きな違いは、日本のように席に座って飲む人がほとんどいないという点。そもそもエスプレッソは20〜30ccほどとごく少量で提供されるので、わざわざ腰を落ち着けて飲むほどの量でもありません。そのため、ほとんどの人はカフェマシーンがあるカウンターの前で立ったまま飲み、終わったらさっと店を後にするのが一般的です。
イタリアではこのエスプレッソを、一日に何杯も飲みます。朝起きてすぐ、出勤して仕事が始まる前、ランチ後、仕事の合間、夕食後など……よくあるタイミングを数えただけでも5回ありました。この数字は決して大げさなものではなく、人によっては「仕事の合間」が1日に何回もあったり、仕事帰りに同僚とコーヒーを飲みに行ったりと、もっと頻繁に飲む人も少なくありません。仕事を始める前や合間などにバールを訪れて、さっと気持ちをリフレッシュさせるのがイタリア流のコーヒーの楽しみ方なのです。
イタリア・ミラノ在住、フリーライター。広告ディレクターや海外情報誌の編集者などを経て、2012年にイタリアに移住。イタリア関連情報や海外旅行、ライフスタイルなどの分野を中心に活動中。物欲が強いので、旅行先ではお土産物屋さんに吸い込まれがち。特に布とキリムに弱い。「とりあえず食べてみよう」をモットーに生きてます。
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