ロンドンの金融街シティの目抜き通りに、ひっそりたたずむ個人経営のカフェ、Wild & Wood Coffee。店名の由来はというと、店内に入ればすぐわかります。
このカフェの内装にはすべて昔教会で使われていたアンティークの木目のテーブルや椅子が使われています。
そして壁面にはびっしりと古そうな写真やポストカードが、そして足元にはアンティークのはかりや本などに混じって、ケーキやビスケットなどがむき出しに陳列されている、計算された雑多とも言えるワイルドな空間が広がります。
店内はたった6畳ほどの小さな空間。アンティークのテーブルは、4人席が2つ、2人席が4つ、1人席がひとつと狭い中にも効率よく座れるようになっており、外の喧騒から離れてリラックスしたコーヒータイムを楽しめます。
「ロンドンで一番おいしいコーヒー店」に選ばれたこともあるだけあって、Wild & Wood Coffeeのコーヒーは絶品。特におすすめは、Monmouth coffeeから取り寄せるこだわりの焙煎豆と濃厚なジャージー乳がつくりあげるFlat Whiteフラットホワイトです。
日本ではあまり馴染みのないフラットホワイトは、少し濃いめのカフェラテのようなもので、もともとイギリスの旧植民地であるオーストラリア・ニュージーランドで飲まれだしたコーヒーです。カフェラテやカプチーノに比べて使用する牛乳の量が少ないため、エスプレッソ本来の味も楽しみつつ、ベルベットのようにまろやかなクレマ(きめ細かくあわ立てたミルク)がエスプレッソの強い苦さを和らげてくれます。
Wild & Wood Coffeeのオーナーの性格は頑固な親父のよう。カフェイン抜きのコーヒーもなければ、ロンドンのカフェには最近は必ずある無料のWIFIも提供されていません。店内には、”No WIFI, talk to each other! (WIFIはありません。周りの人との会話を楽しみましょう、とのニュアンス)”と書かれていたり、”No decaf, No soy, Def No Syrups. God forbid Chai Latte(カフェイン抜き、豆乳はありません。シロップも絶対にありません、チャイラテなんて神に誓ってありません)とスタバに釘を刺しているようにも思える、クスリと笑えるメニューが飾ってあります。
イギリスといえば紅茶、と思う方がたくさんいると思いますが、金融街シティはとても国際的。純なイギリス人を探すのが珍しいくらい、ヨーロッパ各国はもちろんその他色々な国の人が働いています。シティのランチの後のブレイクは、紅茶よりもコーヒーが好まれる傾向にあります。
そんなシティの中心地にありながらも違う時代の空気が流れるWild & Wood Coffee。狭い店内では相席になる確率多し。隣のビジネスマンの会話が、何億ポンドもの企業買収の話だったりするのもユニークな土地柄ですね。
Wild & Wood Coffee(ワイルド&ウッド コーヒー)
住所:47 London Wall, London EC2M 5TE
電話番号:07525155957
営業時間:平日10:00~20:00、土曜10:00~15:00
定休日:日曜日
公式HP:http://wildandwoodcoffee.co.uk/
2001年よりロンドン在住。フランス・ノルマンディー出身の夫と結婚9年目。フルタイムに仕事をしながら、トライリンガルに育ちつつある息子(5歳)と娘(2歳)と暮らしています。イギリスとフランスをまたいで、ヨーロッパならではのゆとりある暮らしについて発信中。
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